2015年11月30日:クロコノマチョウ

 クロコノマチョウマンションの灯りに飛来したクロコノマチョウ(撮影:明石市内)
 1962年9月、中学2年生だった。昆虫採集のライバルだった友人が、神戸市内の学校校舎内でウスイロコノマチョウを採集した。まだ土着しておらず、新聞記事になるほどのすごい記録だった。翌年9月、西六甲のトゥエンティクロスでコノマチョウの仲間を見つけた。樹林内の暗い茂みに、翅を休めたかと思うと、さっと飛び立ち、ブッシュに潜り込む。じっと待つと、地面から数十cmの所を横に10mほどすっ飛び、また潜り込む。網に入れた瞬間、心臓はバクバク、破裂しそうなくらい痛かった。クロコノマだった。ウスイロには及ばなかったが、当時は珍品だった。
 あれから半世紀以上経ち、温暖化の影響でウスイロは県南部に姿を見せ、丹波や但馬の記録も。クロコノマは、さらに分布を広げ、場所によっては珍しくなくなった。
 佐用町で採集された小さな幼虫をいただき、明石の自宅で飼育してみた。ススキの葉をよく食べ、蛹になった。美しい透き通るような緑だった。ススキの葉に溶け込むのだろう。羽化した成虫は薄黒い木の葉のようだ。
 自宅周辺にも、時々姿を見せる。マンションのエントランスが好みだ。夕方、舞い込み、灯りにも来る。もう、あの感動はない。
 ちなみにウスイロコノマを初めて採集したのは、60歳を過ぎてから。石垣島でのことだ。

(三木進)

ススキの葉を食べる幼虫。ジュズダマの葉も好物だ

美しい緑色の蛹

2015年10月30日:芦屋のゴイシシジミ

小さなシジミチョウの仲間。国内で唯一、成虫、幼虫ともに肉食性。ササに着くアブラムシを食べる。名前の由来は、羽の裏の小さな紋。

写真は芦屋市内。登山道の脇のネザサの葉裏にアブラムシが集まっており、その中に居座っていた。まさに食事中。私にとっては市内での初の遭遇。分布が確認できたので、観察を続けたいが、葉裏に静止していると見つけるのは、なかなか大変。飛べば分かるが、写真にならない。     (池内清) 

2014年10月26日:スミナガシの幼虫と成虫


スミナガシ

 冬の足音が近づく中、必死にアワブキの葉を食べる。
終齢幼虫から蛹になれなければ、冬を越せない。
 変わった形態だ。触覚がまるで角のようだ。
 成虫は別名「さつまがすり・薩摩絣」。ファンの多い美しいチョウだ。
 半世紀以上前に、神戸の森林植物園で初めて出会った日のときめきが今も鮮明だ!

(※成虫の写真は2013年7月26日、兵庫県佐用町)                       (三木 進)

2015年4月15日:ウスバシロチョウ

兵庫いきもの語り№15
ウスバアゲハ(ウスバシロチョウ)

 初夏の中山帯に舞う華麗なチョウだ。一見シロチョウに見えるが、「アゲハの仲間だ」として改名された。もっとも和名なので、昔ながらのウスバシロチョウを使っている人も。兵庫県内では主に西播北部から但馬地方に分布し、5月中、下旬に見られる。幼虫の食草、ムラサキケマンがシカに食害され、急激に数を減らしている。“幻のチョウ”と呼ばれる日がくるのだろうか。

2014年10月5日(日):アオバセセリの幼虫

兵庫いきもの語り№9 アオバセセリの幼虫
 アワブキ科の植物の葉を食べ、丸めて巣にする。頭の斑点や胴体の模様が鮮やかだ。
 10月の初めに佐用町で見つけた、この幼虫は、まもなく蛹化し、来年の6月に蝶になる。
 中学生の時、友人と京都・貴船に採集に行き、小雨の中、ウツギの白い花に吸蜜に訪れた本種に初めて出会った。

 深い緑と翅端の鮮やかなオレンジが美しい、セセリチョウの女王だ。憧れの蝶だが、夕刻、目にも止らぬ速さで飛翔し、手強い所が、また魅力である。

(三木 進)

2014年4月20日(日):吸蜜するツマキチョウ♂

吸蜜するツマキチョウ♂
吸蜜するツマキチョウ♂

シロチョウ科のチョウは春から秋まで見られるものが多いが、本種は春、桜の開花とともに現われ、やがて姿を消す。

翅の先が尖った特異な形をし、オスにだけオレンジの紋がある。モンシロチョウより一回りも二回りも小さい可憐な蝶だ。

快晴の日にゆっくりと飛び、幼虫はハタザオなどアブラナ科の植物を食べる。

自宅の小さなバタフライガーデンに一度だけ姿を見せてくれた。オキザリスの蜜を懸命に吸っていた。

写真は明石市内

(三木進)

2014年4月14日(月):ゴマダラチョウの幼虫が若葉色に

脱皮し若葉色になった幼虫
脱皮し若葉色になった幼虫

2月18日に紹介した

ゴマダラチョウの幼虫が

エノキに登り、

小さな小さな新芽を食べ、

脱皮、若葉色に育ちました。

(三木 進)

2014年4月3日(木):ギフチョウ舞う

ショウジョウバカマ
ショウジョウバカマ

風もなく、気温も高いので

ギフチョウの観察にはもってこいの日和。

ここ数年通っている北播のポイントへ。

 

サクラ、ヤマザクラとも満開。

畑のツクシもピークを過ぎていた。

 

しかし、山中のコバノミツバツツジは

花がほころびかけたばかり。

同じくギフチョウの吸蜜植物である

ショウジョウバカマはすでに咲いていました。

 

 

 

ギフチョウ
ギフチョウ

いました。

新鮮な個体です。

 

ネットの中で撮影しました。

 

発生を確認し、

再び自然に返しました。

ギフチョウ
ギフチョウ

枝の分かれ目に止まった

ギフチョウもいました。

(三木進)

2014年4月1日(火):ツマグロヒョウモンが蛹に

体内では変化が
体内では変化が

3月28日(金):木製のコンテナの側で幼虫が休んでいました。

体は縮み、深い眠りについていました。

前蛹
前蛹

3月31日(月):木製コンテナに植わっているハイビスカスの枝に移動。

幼虫から蛹になる段階、蛹の前なので前蛹(ぜんよう)と呼びます。

蛹

2014年4月1日(火):蛹になりました。

かなり濃い個体です。どんな成虫が羽化してくるのでしょう。

お楽しみに!

※写真は、いずれも明石市内。

(三木進)

 

2014年3月25日(月):スミレを食べる            ツマグロヒョウモンの幼虫

ツマグロヒョウモンの幼虫
ツマグロヒョウモンの幼虫

ツマグロヒョウモンの幼虫が

活発にスミレを食べています。

今年、初めてです。

※明石市西部(三木進)

2014年3月24日(月):マンションの駐車場で越冬

アカタテハ
アカタテハ

アカタテハがお目覚め、

夜中に蛍光灯に来ていました。

※明石市西部(三木進)

2014年3月23日(日):越年蝶3題

キタテハ
キタテハ

本日(3/23)に、谷上にて行われた、

ひょうご自然教室の春の観察会で

出会った蝶です。

 
撮影できたのは、
キタテハならびにテングチョウです。
ヒオドシチョウとルリタテハと思われるものが飛んでいましたが、
撮影には至りませんでした。
(池内清)
 
 
テングチョウ
テングチョウ

越年蝶。「おつねんちょう」と呼びます。

いずれも成虫で冬を越し、

春に卵を産む蝶です。

ヒオドシチョウ
ヒオドシチョウ

3月21日(金)に

芦屋市の奥山にて、

ヒオドシチョウに

出会い撮影できました。

 

いずれも長く、寒い

冬を乗り越えてきたのですね。

 

2014年3月20日(木):ツマグロヒョウモン

パンダスミレに産卵するツマグロヒョウモンの♀
パンダスミレに産卵するツマグロヒョウモンの♀

 

温暖化で南から分布を広げている代表格。 

 

1962年、中学校2年生の時の採集記録では、

森林植物園と山の街で、それぞれ1♂1♀を採集。

当時は、六甲山上のゴルフ場と姫路の書写山を除けば珍しかった。

 

 

パンジーの茎まで食べる終礼幼虫
パンジーの茎まで食べる終礼幼虫

それが温暖化に加え、

ガーデニングブームで食草のパンジー、ビオラを植える人が増え、

一気に普通種に。

 

数が多くなると不思議なことに、

飛び方まで違ってくる。

敏捷だったのに、今では簡単に捕まえられる。

 

金色の三角の突起を持つ蛹
金色の三角の突起を持つ蛹

だが、ここ数年、

各地で昆虫が減っている。

 

本種も例外ではない。

ガーデニングの内容が深まり、

お決まりの一年草・パンジーから、

多年草へと

レベルアップしたのなら、いいのだが。

※撮影場所は、いずれも明石市内。

(三木進)

2014年2月10日:ホシミスジ

羽化したばかりのホシミスジ
羽化したばかりのホシミスジ

 翅の裏に、黒い星を散りばめた

タテハチョウの仲間。

幼虫はユキヤナギ、シモツケ、シジミバナ、

コデマリなどの葉を食べる。

写真は、いずれも三木進。

明石市内


 

枯葉に擬態したホシミスジの蛹
枯葉に擬態したホシミスジの蛹

擬態の名手で、

越冬幼虫は葉を丸めた小さな揺りかごの中に。

蛹は枯葉にカモフラージュ。

食草をじっくり観察しよう。

県南部から中部へと分布拡大中?

2014年2月18日:ゴマダラチョウ

エノキの落ち葉の下にいた越冬幼虫
エノキの落ち葉の下にいた越冬幼虫

冬の間に、

エノキの落ち葉を裏返すと、

越冬中の幼虫が見つかります。

写真・文章:副理事長、三木進 

どれが葉で、どれが幼虫?
どれが葉で、どれが幼虫?

春になるとエノキの幹を登り脱皮、

今度は緑の幼虫に。

葉のつもりの幼虫が2頭。

保護色が見事です。

羽化」直前は透明に!
羽化」直前は透明に!

初夏に蛹に。

蛹も緑色で、

葉の形をしています。

羽化直前になると

中が透けて見えます。

羽化しました
羽化しました

見事な春型のメスが

羽化しました。

エノキに産卵する
エノキに産卵する

成虫は、樹液を吸うなどし、

活発に飛び回ります。

 

滑空しては、

また力強く羽ばたくのが特徴です。

 

年に2、3化します。

 

一般に、チョウ類は活動が活発な

夏型の方が大きくなりますが、

ゴマダラチョウは春型の方が大きいです。

夏型の母チョウも

エノキの葉に産卵します。

ハラビロカマキリも見破れませんでした
ハラビロカマキリも見破れませんでした

10月になると、

エノキの葉も黄色くなり、

緑の幼虫も黄色を帯びます。

枝の上で動かず、

お腹を空かせたハラビロカマキリも

見破れませんでした。

 

* 撮影場所は、明石市内。

ゴマダラチョウは、日本の「国蝶」オオムラサキの近似種ですが、山地にいるオオムラサキよりも、平地や公園にいるため、環境からの影響を受けやすく、明石市西部でも一昨年から、余り見かけなくなりました。

大木よりも1.5mほどのエノキの灌木を好むようです。身近なチョウを見守りましょう。