2015年9月25日(金):ネキトンボ

ネキトンボの♂(9月、神戸市北区)

ネキトンボ
いわゆる「あかとんぼ」の仲間。国内に22種いるトンボ科アカネ属の一種。翅の「付け根」がオレンジ色になることから、名付けられた。6~10月に出現し、高い木のてっぺんや電線にとまる習性があるという。四国・剣山の山麓にある夫婦池には、フナの突然変異で赤いテツギョがおり、池の周りには本種だけが生息していた。水中と陸上の二つの赤。何か理由があるのだろうかと、妙に気になった。(大谷洋子、三木進)


2015年8月25日(火):ヨコヅナサシガメとシマサシガメ

樹幹で集団越冬するヨコヅナサシガメの幼虫(明石公園)

ヨコヅナサシガメとシマサシガメ

 共に他の昆虫などの体液を吸うハンター。
 ヨコヅナは名前の通りサシガメ類の最大種で体長16~24mm。サクラの幹での集団越冬で知られるが、実は外来種。昭和初期、中国や東南アジアから船荷に紛れて九州に上陸。現在は関東まで分布を広げている。
 似ているのがシマサシガメ。体長13~16mm。こちらも普通種だが、単独行。ヨコヅナより腹部の幅が狭く、脚に白い帯があるのが特徴。
 両種とも不用意に手を出すと、指の腹を奥深くズブッとやられる。西表島で2010年、記載間もないモンキオモナガサシガメを見つけた。逃がすまいとつかむと火のような痛みが走っり、放り投げてしまった。何とか見つけ出したが、10日以上も指先が疼いた。(卜部格、三木進)

ヨコヅナサシガメの成虫

ハバチを捕えたシマサシガメの成虫(明石市内)

2015年7月30日(木):マイマイカブリ

 珍しい虫ではありませんが、久々に出会って写真が撮れました。50年も前には、神戸市内の自宅の庭でも見られましたが、最近はカタツムリ自体見る機会が少なくなり、本種に出会うチャンスが激減しました。
 撮影場所は、芦屋川右岸道、4月19日(日)の朝。さすがに生きたカタツムリを食べるだけあって、迫力のある大アゴです。前翅は癒着し、後翅が退化しており、飛べないので移動範囲が狭く、地域による変異が多いといわれています。しかし、その大きさと長い脚により移動速度はなかなかのもの。地上では、飛翔以上に効果があるのではと考えます。名前の由来は、国語辞典によると「蝸牛被/舞舞被」とあり、カタツムリの殻の中に頭を突っ込んで捕食している様子が、カタツムリの殻を頭に被っているように見えるからという。私にはカタツムリに「かぶり」つくからという方がぴったりとくる。

 辞典の「被」は、かぶりついた後に、捕食中の写真を見て当てたのではなか。(池内清)

2015年5月15日(金):ツチハンミョウ

ツチハンミョウの仲間

ツチハンミョウ科。日本には15種ほど分布。春と秋に見られ、メタッリック・ブルーが特徴。体長は9mmから30mm。♂が小さく、産卵期のメスの腹部が膨張する。触ると擬死し黄色い液を出す。有毒物質・カンタリジンが含まれ、皮膚かぶれる。卵は土中に大量に産み付けられ、幼虫は花のてっぺんに這い登り、ハナバチ類の体にしがみつき、ハチの地下の巣へ。ハチの卵や蜜を食べて成長する。

2015年3月18日(水):クロカタビロオサムシ                      求む目撃情報

クロカタビロオサムシ
 手塚治虫が、名前に使ったオサムシの仲間。蛾の幼虫を食べる樹上性の昆虫で、体長は22~28mm。兵庫県内では、ほとんど記録がなかったが、2013年に突如、各地で姿を見せた。「関西でクロカタビロオサムシ大発生(1)(2)(3)」―神吉正雄、石川延寛、昆虫と自然49、50、2014.2015―が詳しいが、県内でも六甲山系、三木市、たつの市などで見つかり、佐用町では大発生した。
蛾類の大発生が10年周期で、それに合わせて数を増やすようだが、2013年、2014年に続いて、今年2015年の動静が注目されている。見つけられた方は、連絡していただきたい。mushiya@yahoo.co.jpまで。
佐用町の報告は、
http://www.konchukan.net/kiberihamushi/に詳しい。

2015年2月20日(金):ホシミスジ             冬枯れの枝先に、揺れる揺りかご

ホシミズジ Neptis pryeri  ミスジチョウ科の美麗種。本州から四国、九州に分布。兵庫県内では瀬戸内側の平地、市街地に多い。
 1.越冬態
厳冬期の2月から、水ぬるむ3月にかけて、コデマリやシジミバナ、シモツケなどの枝先を見てみよう。葉がすべて落ちた頃がベストだ。地上近くか、伸びた枝先に、枯葉を巻いた数mmの小さな“揺りかご”が見つかる。前年に卵からかえった幼虫が、晩秋に懸命に巻いた“シュルター”だ。中で3齢になった幼虫がじっと耐えている。揺りかごの葉柄の部分を、口から吐いた糸で枝にしっかり結わえつけている。風の強い所では、葉柄の部分が飛んでしまうが、揺りかごは糸で枝につながっている。生存をかけた見事な戦略だ。写真の中には4つの揺りかごがある。ピントがずれているが新芽を食べに外に出てきた幼虫もいる。

2.幼虫
 暖かくなるに連れ、幼虫は葉を食べてどんどん大きくなる。ここで見られるのは、見事な擬態だ。尻の方が頭に見えるような突起があり、さらに体に下方にある緑色の帯が絶妙だ。背景の緑と同化し、幼虫の輪郭を消してしまう。茶色の部分が、枯葉にそっくりになる。

3.前蛹
 4月下旬、十分に成長すると、枝に被われた下部に移動。お尻の部分を口から出した糸で枝の節に括り付け、ぶら下がって蛹になるための準備をする。2、3日で蛹化する。

4.蛹
 実際のフィールドでは、蛹は枯葉にしか見えない。形もシモツケ科の植物にそっくりだ。アゲハチョウやモンシロチョウのように、蛹が帯で支えられている「帯蛹(タイヨウ)」に対し、「垂蛹(スイヨウ)」と呼ばれる。

5.羽化
 蛹の中で劇的な変化を遂げ、5月下旬から6月初めにかけて、成虫になる。翅の裏の基部に、黒い小さな星が散りばめられている。名前の由来だ。
☆ワンポイント・アドバイス 庭にユキヤナギなどがあれば、太陽が当たる反対側の枝を、地上から10㎝ほどで切っておこう。小さな枝がたくさん出てくる。こうして再生した枝を母チョウがよく利用する。                                                                       (三木 進)
 

2014年9月6日(土):オオアオカミキリのペア

サワグルミの樹幹にいこうオオアオカミキリのペア
サワグルミの樹幹にいこうオオアオカミキリのペア

オオアオカミキリ
県中北部の山あいに、ヒグラシの声が響くころ。
サワグルミの大木に、メタリックグリーンの森の精が現われる。
日中は高所にいて、夕闇迫る中、速足で樹幹を下りてくる。
地上1~3㍍の場所で出会い、交尾し、産卵する。
体長3㌢ほど、♂の触角は体の2倍はある。
つかむと、独特の臭いがする。「柑橘系」ともいわれるが、表現のしようのない微香だ。
それでいて、指に移った臭いすぐには消えない。
珍品を採った「勲章」というよりは、行く夏を惜しむ、どこか悲しい残り香だ。
(三木進)

2014年3月25日(火):クビキリギスがお目覚め

クビキリギス
クビキリギス

マンションのベランダで

夜の9時ごろ、

ライトの中にクビキリギスが。

成虫で越冬する

数少ないキリギリスの仲間です。

 

イソップ童話の

「アリとキリギリス」の話は

成立しません。

 

立派に春を迎えました。

めでたし、めでたし。

 

褐色型と緑色型の二つのタイプがあります。

どちらも保護色です。

※明石市西部(三木進)